携帯電話の振動で目が覚める。
5時30分。目覚まし代わりにセットしたアラームだ。
6時頃朝食を食べ始め、6時40分頃には家を出た。
第10回 大阪・淀川市民マラソンに出場するのである。
今年は一人で会場に向かう。生まれて間もない娘達を連れて行くわけには行かない。妻と娘達は家で応援だ。
妻の電動自転車に乗って、約1時間ほどの道のりをゆっくりと走る。帰りはきっと電動アシストのお世話になることだろうから、バッテリー温存のため、人力のみで走る。
私のクロスバイクは、バルブ根元のパンクのため使用不能である。最近は自転車での移動機会が激減しているため、チューブ交換も放置状態になっている。
会場に到着。
大会本部のテントから少し離れたところに自転車を停めた。標識のポールにチェーン錠をかける。
受け付け後しばらくすると、開会式が始まった。
着替え。荷物預け。軽くウォーミングアップし入念にストレッチ。スタート15分前。スタート地点に向かう。
4時間台目標の最後尾あたりに陣取る。
今回は、完『走』が目標である。6分30秒イーブンを目標ペースとするが、後半落ち込む可能性も高いため、4時間30分~5時間辺りでゴールできればいい。
練習不足や体重増加がタイム低下の言い訳になったとしても、走りきれない言い訳にはならないと思う。少ないなりにトレーニングはしている。42km完走できない足ではないはずだ。走れなかったら、それは気持ちの問題なのである。
だから、タイムはともかく、完『走』はなんとしてでも達成したいのだ。
スタート。
ゾロゾロと歩き出す。人数は多いが、スタートラインを越える頃には軽く走り出すことができた。
ペースを上げすぎないよう気を使い、何度もsuunto t6の速度表示を確認する。周りのランナー達が次々に追い越していく。元来、勝負心は強くないため、抜かれても気にはならない。だが、つられてペースが上がらないよう、自身のペースに集中した。
ハーフの折り返し地点。体が最高に軽くなる。ついペースが上がっては自重を繰り返す。
15km。反対側を折り返してきた先頭ランナーが駆け抜ける。さすがに早い。
中間地点。2時間18分。ほぼ予定通りのペースだ。臀筋、ハムストリングに軽い疲労。このままゴールまでいけるかもしれないという淡い期待感が頭をもたげる。いくらゆっくりペースとはいえ、そう甘いものではないのである。
17km。義父の姿が見えた。ちょうど妻の実家近くなのである。自転車に乗って応援に来てくれたのだ。有難うお義父さん。あと15km頑張ります。
30km。6分40秒近くまでペースが落ち始める。一方で、それまで130未満であった心拍数が140を越えるようになる。エイドで一度ストレッチなどした方が良いだろう。
エイドで冷却スプレーをかけてもらい、少しストレッチ。しゃがむだけで一苦労である。
立ち止まると再び走り出すのが辛くなるのだが、この頃には歩いている人も多く、給水ポイントは立ち止まらなければ水を取ることができなかった。せっかくなので、給水毎に軽くストレッチをすることにした。
残り4km。最後の給水ポイント。あともう少しである。念入りにストレッチして、再び走り出す。
この頃には7分~7分30秒までペースが落ちていた。いつものLSDペースと思えば気が楽である。とにかく8分だろうが9分だろうが、ペースはどれだけ落ちても良い。絶対に歩かないと改めて誓う。
いつもながら、最後の数キロはきつい。
立ち止まりたい、歩きたいという弱い心との葛藤である。そのたびに娘達の笑顔が何度も現れた。ジャージ姿の妻が自転車で併走している。頑張れ。励まされて、何とか足を前に進める。
ゴールしたら、妻に電話しよう。時間は掛かったけれど、歩かずに走りきったよと。
そんな想像を何度となく繰り返した頃、ようやくゴールが見えてきた。
歩くようなペースにもかかわらず心拍数は160近くまで上がっていた。スパートしたい気持ちはあるが、無理をせず、最後までペースを守って歩を進めることにした。
ゴール。
手許の時計で5時間を少し越えていた。
やった。5時間は切れなかったが、とにかく完『走』という目標は果たしたのである。
妻に電話して、そのことを報告した。やったよ。走りきったよ。と言うと涙があふれそうになった。近頃は涙もろくて困る。
濃い目に作ったアミノバリューをがぶ飲みしたため、気分が悪くなって、嘔吐してしまった。
帰り道、好物のラーメンを食べるつもりだったのだが。
やはり、フルマラソンはフルマラソンである。簡単ではない。最後の方は、もう二度と走るもんかという気になるほど辛い。なのに、終わってみると、次こそはと、また走る事になっているのである。
走るというのは、本当に素晴らしいことだと思うのである。
そんなことを考えながら、電動アシストに大いに助けられ、家路に着いたのである。
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